テレビ視聴率の測り方・調べ方って?指標と併せ徹底解説!

ニュースやテレビ番組などでよく耳にするテレビ番組の視聴率。なんとなくどのくらいの割合の人に見られたのか、ということは分かりますが、一体どういうものか、どのように測定、計測されているのかを説明できる人は少ないと思います。

この記事では、そんな視聴率についてのアレコレを網羅的にお伝えします。

そもそも視聴率とは?

テレビ視聴率とは、テレビ番組やテレビCMがどれだけの人々に視聴されたかを計測する指標で、特定の時間帯における視聴者の割合を示します。
視聴率の測定は様々な会社によってなされています(テレビ視聴率調査会社まとめ)が、多くのテレビ局含め広告業界ではビデオリサーチ社(VR社)という調査会社の視聴率データが最も活用されています。
ビデオリサーチ社は1962年に現在の東芝、電通、民間放送18社の共同出資により設立した会社で、同年12月より調査が開始されています。

どのように調べているのか?

調査エリアと調査パネル数(調査世帯数)

全国32地区、10,700世帯で調査されています。
この10,700世帯を全国約5,500万世帯の代表的な世帯として考えることで、真の視聴率を推計により把握しています。

関東2,700世帯
関西1,200世帯
名古屋600世帯
北部九州/札幌400世帯
その他エリア200世帯

調査方法

音声フィンガープリントによる機械式(PM)調査

PM(ピープルメーター)という機械と計測用の特別なリモコンを使って測定する調査が行われています。
調査対象の世帯内のテレビへ機械を設置することで世帯視聴率(後述)を測定し、付属で配布されるの調査用のリモコンを使い、テレビを見始める時と見終わった時に自分用のボタンを押すことで、個人視聴率(後述)を測定しています。

調査対象

各エリアに居住するテレビ受像機所有世帯、および世帯内に居住する満4歳以上の家族全員が調査対象です。

調査対象の選ばれ方

業界関係者を除き、国勢調査の統計情報をもとに、無作為抽出により基準世帯が抽出されています。
各地から対象世帯をバランス良く選び、統計的検定という手法を用いて、視聴率調査の精度を確保しています。ただし、精度に多少の誤差は存在します。

視聴率の粒度

毎分視聴率が最小単位。
60秒ごとに視聴率が計測されている。

提供サイクル

日報/週報

様々な視聴率指標

世帯視聴率

世帯視聴率は、調査エリア内のテレビ所有世帯のうち何世帯でテレビを付けていたかを表す割合です。
ある時間帯においてテレビ番組やテレビCMを視聴した世帯の割合を把握することができます。世帯視聴率はテレビ視聴の一般的な指標であり、番組の人気や視聴者の傾向を把握する上で使用されます。

個人視聴率

個人視聴率は、だれがどのくらいテレビを視聴していたかの割合です。
ある時間帯においてテレビ番組やテレビCMを視聴した人の割合を把握することができます。
個人視聴率には対象世帯に住む人のうち、だれがどのくらい視聴していたのかを表す個人全体視聴率、性年代で区分したC(男女4~12歳)、T(男女13~19歳)、M1(男性20~34歳)、M2(男性35~49歳)、M3(男性50歳以上)、F1(女性20~34歳)、F2(女性35~49歳)、F3(女性50歳以上)などの見方があります。

リアルタイム視聴率

リアルタイム視聴率は、番組が放送中に視聴された割合を示す指標です。
つまり、番組が放送されている間にリアルタイムでテレビを視聴している視聴者の割合を計測します。

タイムシフト視聴率

タイムシフト視聴率は、番組の放送後に録画やオンデマンドで視聴された割合を示す指標です。
放送された該当のテレビ番組をテレビ所有世帯のうち何パーセントが7日間以内に再生視聴したかを表す推定値とされ、録画視聴率とも言います。

総合視聴率

リアルタイム視聴とタイムシフト視聴率の合計から重複分を除いた指標です。
番組単位での視聴の拡がりを確認することができます。

平均視聴率

番組内、もしくはCMの毎分視聴率を平均したもの。
一般的に視聴率といえばこの平均視聴率が用いられる。

瞬間最高視聴率

番組内、もしくはCMにおける分単位での最高視聴率のこと。

何に活用されているのか?

社会調査

ニュース、スポーツ、ドラマ、バラエティ番組などの視聴率を測定しつづけていくことによって、人々が今どのようなことに関心をもっているのか、関心がどのように変化してきているかを掴むことができます。
つまり視聴率には、世の中のトレンドや価値観などを明らかにするための社会調査的な役割があると言うことができます。

番組制作や編成の参考

どの番組のどのシーンがよく見られており、どのシーンで見られなくなったかを知ることができます。
それにより、より質の高い番組の制作や編成(番組の組み方)を検討する際の参考データとして活用されています。

テレビ広告の値付けや取引指標

テレビ局や広告会社が広告取引を行うときの共通指標として活用されています。
テレビCMはテレビ視聴率1%を取引単位として各テレビ局が値付けを行い、広告会社経由で広告主に販売されています。

まとめ

テレビ視聴率はテレビ業界の中心的な指標であり、世間一般にとっても、広告業界にとっても重要なデータとなっています。

しかし、テレビ視聴率の調査には制約や限界も存在します。サンプリングの方法や対象人口の偏り、集計期間や地域の違いなどがデータの客観性や正確性に影響を与えることがあります。また、新たなメディアの登場や視聴習慣の変化により、視聴率の測定がより複雑化しています。

そのため、視聴率データを活用する際には、これらの制約や限界を認識し、他のデータや視聴者のフィードバックなどと組み合わせることが重要です。特に広告業界でのビジネスにおいては、視聴率を参考にしながらも、視聴者の変化する行動や嗜好に対応し、多角的なデータ分析やマーケティング戦略を展開する必要があると考えています。